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   昨日までは技術資料の翻訳依頼があり、その打合せでフッと話題に出て来た、会社の社員採用時に提出させる秘密保持誓約書と、翻訳業界の秘密保持契約との違いの話を思い出しました。翻訳業界の「秘密保持契約」の雛型は当方でも用意しておりますが、単発な仕事ではわざわざ締結しません。長期専属ご希望があれば、締結する事になります。

    今日は、会社が社員採用時に提出させる秘密保持契約についてです。これは各企業がそれぞれ人事部で用意しているもので、ごく普通の条項もあれば、業種によっては秘密事項の細部に亘る条項が多数存在するものもあります。

    業務に関する秘密事項を一度に纏めると条項が増えますが、採用時は一般条項、特定業務に当たる時は細分亘る条項と言うように、秘密保持契約を時と場合に分割する方法もあります。分割するメリットは、個々の契約がシンプルで読みやすいのと、それぞれの特定業務に当たる時に秘密保持を再認識できるところにあります。

   実はこの秘密保持について、経済産業省の「各種契約書などの参考例」ハンドブックが平成28月2月の日付で公開されています。ただ普段は、なかなか経産省のHPを見て、こう言った参考例までリンクを辿る事がないので、今回は該当部分を抜粋して、新入社員が会社から要求される秘密保持契約とは、どんな内容のものか、これから就職する皆さんは見てみたいと思いませんか。

入社時に会社から要求される秘密保持契約

秘密保持に関する誓約書

    この度、私は、貴社に採用されるにあたり、下記事項を遵守することを誓約いたします。

第1条(在職時の秘密保持)
    貴社就業規則及び貴社情報管理規程を遵守し、次に示される貴社の秘密情報について、貴社の許可なく、不正に開示又は不正に使用しないことを約束いたします。
    ① 製品開発に関する技術資料、製造原価及び販売における価格決定等の貴社製品に関 する情報
    ② (以下略)

第2条(退職後の秘密保持)
    前条各号の秘密情報については、貴社を退職した後においても、不正に開示又は不正に 使用しないことを約束いたします。退職時に、貴社との間で秘密保持契約を締結すること に同意いたします。

第3条(損害賠償)
    前二条に違反して、第一条各号の秘密情報を不正に開示又は不正に使用した場合、法的 な責任を負担するものであることを確認し、これにより貴社が被った一切の被害を賠償す ることを約束いたします。

第4条(第三者の秘密情報)
    1.第三者の秘密情報を含んだ媒体(文書、図画、写真、USBメモリ、DVD、ハード ディスクドライブその他情報を記載又は記録するものをいう。)を一切保有しておらず、 また今後も保有しないことを約束いたします。
    2.貴社の業務に従事するにあたり、第三者が保有するあらゆる秘密情報を、当該第三者 の事前の書面による承諾なくして貴社に開示し、又は使用若しくは出願(以下「使用 等」という。)させない、貴社が使用等するように仕向けない、又は貴社が使用等してい るとみなされるような行為を貴社にとらせないことを約束いたします。

第5条(第三者に対する守秘義務等の遵守)
    貴社に入社する前に第三者に対して守秘義務又は競業避止義務を負っている場合は、必 要な都度その旨を上司に報告し、当該守秘義務及び競業避止義務を守ることを約束いたし ます。

以上

平成       年     月     日
株式会社
代表取締役社長                           殿

住 所                                    
氏 名                                 

特定プロジェクト参加時に要求される秘密保持契約

秘密保持に関する誓約書

年     月     日
株式会社
工場                           殿

プロジェクト名                                                               

現住所                                        
氏名                               
生年月日                          日生

    私は、上記プロジェクト(以下「本プロジェクト」という。)に参画するにあたり、秘密情報の取扱いに関し、就業規則、情報管理規程、及びすでに提出した誓約書(ただし、これらのうち私に適用されないものがある場合はそれを除く。)に基づく義務を負うことを確認し、加えて以下を誓約いたします。


第1条(秘密保持の誓約)
    会社の許可なく、本プロジェクトに関して会社が秘密情報として指定した情報(以下「対象秘密情報」という。)を、本プロジェクトの参画者以外の者に対し開示し、又は本プロジェクト遂行の目的以外に使用しないことを約束いたします。

第2条(プロジェクト終了後の秘密保持等)
    1.対象秘密情報を、公知になったものを除き、本件プロジェクト終了後(退職後も含む。)も、不正に開示又は不正に使用しないことを約束いたします。
    2.本プロジェクトを終了するとき、本プロジェクトを担当しなくなったとき、又は会社による要求があるときには、対象秘密情報が記録等された会社の文書等(文書、図画、写真、USBメモリ、DVD、ハードディスクドライブその他の情報を記載又は記録するものをいう。以下同じ。)又は物件であって自己の保管するものを、遅滞なくすべて会社に返還し、その旨書面にて報告いたします。
    3.前項に定める場合において、対象秘密情報が自己の文書等に記録等されているときには、当該情報を消去するとともに、消去した旨(自己の文書等に対象秘密事項が記録等されていないときは、その旨)、書面にて報告いたします。

第3条(第三者に対する守秘義務の遵守)
    第三者に対して守秘義務を負っている情報については、本プロジェクトにおいて知り得たかそれ以前から知っていたかにかかわらず、その守秘義務を遵守することを約束いたします。

以上

退職時に要求される秘密保持契約

秘密保持誓約書

    私は、平成 年 月 日付にて、一身上の都合により、貴社を退職いたしますが、貴社秘密情報に関して、下記の事項を遵守することを誓約いたします。


第1条(秘密保持の確認)
    私は貴社を退職するにあたり、次に示される貴社の秘密情報に関する一切の資料、媒体等(文書、図画、写真、USBメモリ、DVD、ハードディスクドライブその他情報を記載又は記録するものをいう。)について、原本はもちろん、そのコピー及び関係資料等を、直ちに貴社に返還、消去又は廃棄し、その情報を自ら保有していないことを確認いたします。
    ① 製品開発に関する技術資料、製造原価及び販売における価格決定等の貴社製品に関
する情報
    ② (以下略)

第2条(退職後の秘密保持の誓約)
    前条各号に掲げる貴社の秘密情報を、貴社退職後においても、不正に開示又は不正に使用しないことを約束いたします。

第3条(契約の期間、終了)
    本契約は、○○年間有効とします。ただし、第一条各号の秘密情報が公知となった場合は、その時点をもって本契約は終了することとします。

以上

平成        年 月 日

株式会社
代表取締役社長                          殿
住所                              
氏名                           

上記見本に関する補足説明

① 当該企業には「情報管理規定」があり、秘密事項の管理についても細かく取り決めてある場合は、入社時用の第一条には①からの箇条書きが省略されてもいいですが、逆に「情報管理規定」が無い場合は、もっと細かく箇条書きで決めるべきとされています。

② 業種にもよりますが、追加条項として、本人の創出した情報や研究開発成果など情報の帰属に関する取り決めを追加すべきとされています。

③ 退職時の契約には、「競業避止義務」について記載する必要がある場合もあるとしています。

    いかがですか、実際の企業にある秘密保持契約を沢山見て来ていますが、それぞれ業界の特色や個性が違います、これくらいシンプルですと、すっきりしますね。従事する業務によっても秘密事項が大分違いますよね、経理と情報と技術では一般の営業とは違う情報に触れています、それぞれ別契約で作ると紙が1~2枚に抑えられます。契約書は長ければいいってものではありません。

    それから、社員が会社から要求される秘密保持契約は「誓約書」と言う契約形態で、一方的に会社に誓いを立てるところなんか、資本主義的です。中国の場合は協議書と言う契約形態なので、会社と就労者の両方が署名捺印をします。次は約見本】中国の一般従業員向け「秘密保持協議書」で、日本と中国の秘密保持に関する契約条項の違いを比較してみましょう。