会社員の皆さんが毎日、会社で働いている事を、所謂経済活動と言います。今の時代、フリーランスがインターネットを使って、生活出来るために自宅で仕事しているのも、経済活動をしていると言えます。その経済活動のもっとも基本となるのが契約関係の書類ではないでしょうか。

    契約するなら契約書でいいじゃない?と思うでしょう。実は、契約書にはいくつかの種類があり、その時々の状況によって使い分けられますが、行政書士や弁護士でもない限り、日頃のビジネスでどれが正しいのか、なかなか解り難いと思います。特に似たものなら、あれ?どっち?と思ったりします。協議書と協定書、意向書と合意書、契約書と誓約書・・・・・・

   法的立場で言うと、タイトルが間違っていても、取り決めた内容や条項が法的効力がある内容なら、その書類は法的効力があり、逆に曖昧な内容であれば法的効力がないものとなります。

    筆者も翻訳で契約書等を沢山扱って来ましたが、会社に入る当初は契約書が本当に苦手でした。当然ですが、契約書のある条項の言い回し等も、これまでの日常にはないものですので、古い契約書を理解できるまで繰返し、繰返し読み込んでいました。契約書と協議書、覚書の違いは意外と、上司もうまく説明できなくて、当時にインターネットの概念がなく、理解するまで相当な時間が掛かりました。

   契約関係書類について、ここに整理しましたので、参考になればと思います。

協議書

英語:Agreement   中国語:协议

使用例:
企業間~業務提携協議書、基本取引協議書、
個人間~財産分与協議書、離婚協議書、遺産分割協議書
特徴と性質:
当事者同士が話し合いで取り決めた内容を記載した文書
物事の大筋な意向を当事者間で確認し合う、広義的契約
細やかな条項で明確に取り決めた場合は基本契約書と同等
締結:
当事者それぞれ署名捺印、1部保管
公証人や立会人がある場合は、公証人や立会人の署名捺印も必要

意向書、意向表明書

英語:LOI=Letter of Intent   中国語:意向书

使用例:
M&A=企業買収意向書、合弁意向書
特徴と性質:
日本語は「意向書」が一般的で、英語直訳なら「意向表明書」となる
買手募集段階で使う交渉の意思を確認するもの
定型形態、買取金額、スケジュール、デューデリー、費用負担、守秘事項、法的拘束力などの大筋な合意を当事者間で確認
独占交渉権や守秘義務など詳細を盛込んだ場合は、基本合意書と同等
必須書類ではないが、あれば相手が相応しい企業内容かどうかを判断できる
かつて中国の合弁はこの意向書を以て日本訪問の許可が下りた
締結:
正本1枚に当事者全員が署名捺印し、コピーをそれぞれ保管

基本合意書、了解覚書

英語:MOU=Memorandam of Undrstanding   中国語:谅解备忘录,瞭解备忘录

使用例:
M&A=業務提携合意書、企業買収合意書
特徴と性質:
独占交渉権、秘密保持義務、デューデリージェンスの実施を含む、M&AではLOIの次に締結する最終契約書の内容を盛り込まれるもの。
契約書ではされに詳細を詰める必要があるが、契約基本方針を確認し、提示された条件及び予定に合意した事を証明する書面。
上場会社の場合、MOUを締結すれば、取引に関する情報であるので、会社情報として開示しなければならない。
締結:
当事者それぞれ署名捺印、1部保管

契約書

英語:Contract   中国語:合同

使用例:
基本契約書、売買契約書、借地契約書、賃貸借契約書、労務契約書、リース契約書、秘密保持契約書、業務委託契約書、ライセンス契約書、工事請負契約書、代理店契約書
特徴と性質:
自由意志による経済活動を行う当事者間で法的責任関係を定めるもの
契約一般条項に加え、業種による追加条項で細かく取り決める
取引に関する各種条件や責任所在、法的効力などを明示するもの
直接金銭の流れを実行する為の明確な条項が盛り込まれる
締結:
当事者それぞれ署名捺印、1部保管

協定書

英語:Agreement   中国語:   协议

使用例:
売買協定書、取引協定書
特徴と性質:
元の契約書の補足として、既存の契約書の更に具体的な細目や別途協議で決めた条項を定めるもの、契約書と同義
上述した協議書(Agreement)よりも狭義である
締結:
当事者それぞれ署名捺印、1部保管

覚書

英語:Memorandam   中国語:备忘录

使用例:
覚書(単一タイトルが多い)
個人間で使われる事もあり、タイトルが軽いイメージで要注意、法的効力あり
特徴と性質:
契約書締結前に当事者の合意事項を書面に残すものと
契約書締結後、新たに合意事項を追加、既存条項変更する場合=協定書
契約書の補足、変更を記録し、契約書と同義
締結:
当事者それぞれ署名捺印、1部保管

確認書

英語:Confirmation   中国語:确认书

使用例:
確認書(単一タイトルが多い)
特徴と性質:
当事者の一方だけの理由による契約条項に関わる物事の変更や詳細説明、元の契約書と同等な効力がある
一方だけの理由ではなく、当事者全員が協議した場合は「協定書」
締結:
提起した一方だけの署名捺印でも良い

誓約書

英語:Written Pledge   中国語:书面保证、保证书

使用例:
秘密保持誓約書(入社採用時)、(返済)誓約書、入院誓約書
特徴と性質:
一方の当事者が他方に差し入れる方式をとった書面
これ自体に法的効力がなくても、合意内容が妥当なら重要な証拠になる
覚書に近いが内容は更に自由で幅が広い、詫び状の様に契約の実質を備えてないものもある         
締結:
提出側が署名捺印

念書

英語:Letter of Indemnity, Counter Guarantee, Signed Memorandam
中国語:保函、保证书、备忘录

使用例:
返済に関する念書、債務に関する念書
特徴と性質:
誓約書と同義、「念のために書く」から来る、英語と中国語はいずれも近い意訳
一方の当事者が他方に差し入れる方式
誓約書と同義だが、ヤクザが多用しているイメージがやや強い
締結:
提出側が署名捺印


bizサポートに戻る